中国工程院の機関誌「工程」(Engineering)が選ぶ「2021世界10大工学成果」が14日、北京市で発表された。「中国天眼」と呼ばれる500メートル口径球面電波望遠鏡(FAST)、「遺伝子のハサミ」と呼ばれるCRISPR-Cas9ゲノム編集技術の研究開発及び応用、新型コロナウイルスと闘う公衆衛生防疫ガバナンスなどが選ばれた。

中国工程院が世界10大工学成果を選び、発表するのは初めてのこととなる。審査プロジェクトは過去5年で世界で完了し、実践により有効性が検証されていて、世界的な影響力を持つ工学科学及び技術の重大成果となっているほか、特定もしくは複数の領域の現在の工学テクノロジーの最高水準を反映している成果とされている。中国工程院院刊学科編委会と中国工程院「世界工学フロント」プロジェクトチーム専門家で審査委員会を立ち上げ、独立性・客観性・科学性の3つの原則に基づき、世界からの募集、専門家による選択と推薦、一般アンケート調査を経て、最終的に「2021年度世界10大工学成果」の審査結果を導き出した。

・AlphaGoとAlphaFold

AlphaGoは2016年に初めてプロ棋士(九段)に勝利した。AlphaFoldは2018年に人類のタンパク質の3次元空間構造を高精度で予測した。大量のデータ、先進的なアルゴリズム、非常に高い計算力、関連分野の知識を効果的に結びつけ、次世代人工知能(AI)が認識・意思決定・エンパワーメントの新たな段階を切り開いた。応用の将来性が日増しに高まっている。

・CRISPR-Cas9ゲノム編集技術の研究開発及び応用

2020年のノーベル化学賞は、CRISPR-Cas9ゲノム編集技術の科学者に授与された。この「遺伝子のハサミ」と呼ばれる新技術は、DNAを切断することでゲノムの正確かつ効果的な編集を実現し、分子生物学に新たな変革をもたらした。遺伝病と腫瘍の治療、遺伝子スクリーニング及び検査、動植物の育種と改良などの分野で大きな技術の潜在力を持つ。

・極端紫外線リソグラフィシステム

同システムは波長13.5ナノメートルの極端紫外線を光源とし、半導体製造プロセスの最小回路線幅を7、5、3ナノメートルに縮められる。オランダのASML社が2019年に次世代極端紫外線リソグラフィシステムを発表した。これは現在の最先端の第5世代リソグラフィシステムを代表し、ムーアの法則の限界をさらに押し上げる見通しだ。

・第5世代移動通信システム(5G)

世界初の5G技術標準の策定が2018年に完了した。5G技術は2019年に初めて大規模商業化を実現した。高速・低遅延・大連結の特徴を持つ5G技術は、強化モバイルブロードバンド、超高信頼性低遅延通信、大量の機器の通信に用いられる。マン-マシン-モノの相互接続を実現し、人類社会のデジタル化モデル転換のペースを大幅に上げた。

・500メートル口径球面電波望遠鏡

世界最大で感度が最も高い単一口径電波望遠鏡「FAST」が2020年に正式に開放された。FASTはカルスト地形の窪地に位置し、数千ユニットで構成される500メートル球冠型能動反射面が敷設されている。軽量けん引フィードプラットフォームとパラレルメカニズムにより望遠鏡の高精度測位を実現する。FASTは未知の宇宙空間を探索する人類の目を鋭くし、その視野をさらに広げた。

・ハイブリッド稲

ハイブリッド稲は主に雄性不稔系を遺伝ツールとし、雑種強勢を持ち生産量が多く病気に強い高品質の稲品種を栽培する。中国人科学者が2020年に栽培しだ第3世代ハイブリッド稲は、1ムー(1ムーは約6.7アール)あたり1530.76キログラムという二期生産量の新記録を樹立した。ハイブリッド稲の研究開発の成功と大規模普及は、世界の作物科学技術の重大なブレイクスルーであり、世界の食糧安全に重要な保障を提供した。

・火星探査機「インサイト」

米国の無人探査機「インサイト」が2018年、火星着陸に成功した。火星内部構造の研究に特化する初の探査機であるインサイトは先進的な設備を搭載しており、火星の地殻、マントル、地核を探査する。火星の形成と変化の流れ、現在の構造的な活発性の理解を目指す。これは人類の地球型惑星の探査が、惑星の「内部世界」に邁進したことを象徴している。

・新型コロナウイルスと闘う公衆衛生防疫ガバナンス

新型コロナウイルスのパンデミックを受け、各国はさまざまな対策を講じた。中国、ニュージーランド、韓国など多くの国が科学的な感染予防・抑制プランを採用し、大規模なPCR検査、ビッグデータ追跡、健康コード認証を展開した。早期発見、早期報告、早期隔離、早期治療に取り組み、地域別・レベル別の差別化正確予防・抑制を実施。秩序に基づいた操業再開を促し、大規模な感染拡大を効果的に封じ込めた。

・長江三峡水利中枢プロジェクト

20年以上にわたる建設・運行を経た中国長江三峡水利中枢プロジェクトが、2020年に全体的な検収を終えた。これは現時点で世界最大の水利中枢プロジェクトで、20以上の経済、技術指標で世界トップレベルとなっている。洪水防止、発電、水運、生態補水など10以上の機能を備え、大きな経済・社会効果及び省エネ・排出削減の生態効果を発揮している。

・超高圧送電プロジェクト

超高圧送電プロジェクトは現在、最も効率的で最も経済的な長距離送電方法だ。中国初の1000kV超高圧交流送電プロジェクトが2009年に稼働開始した。2019年には世界初の±1100kV超高圧直流送電プロジェクトが中国で完成し、稼働開始した。中国は世界最大規模の超高圧送電網を擁し、エネルギーの地域を跨ぐ大規模な最適化配置を実現した。

出所:人民網

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